光のもとでⅠ

 ツカサに続いて歩きだした海斗くんが、
「実は眠れなかったのって司なんじゃねーの?」
 と、こっそり声をかけてくる。
「どうかな? だって、ツカサって何にも動じない気がするよ?」
 海斗くんを見上げると、
「さ、それはどうかな?」
 意味深な笑みを浮かべてエントランスを出た。

 マンションから学校までの道のりは下り坂。
 歩道を歩いていると、右手眼下には住宅街。遠くに見えるは藤倉市街の高層ビル。
 その上には果てしなく広がる青い空。
 街路樹にはハナミズキが植わっており、今はところどころに赤い実をつけている。
 そのコロンとした実がとてもかわいかった。