十階からお父さんと静さんが下りてきて、平均身長がぐんと上がっていたのだ。
 静さんと会うのは久しぶり。
 けれども、あまりにも唐突な再会に、言葉が詰まるどころか緊張する間も何も与えられなかった。
「おはよう」
「おはようございます……」
 静さんと挨拶したのち、お父さんとも挨拶を交わす。と、静さんは窓際へ向かった。
 そして、室内を振り返っては私に「おいでおいで」と手招きをしてみせる。
 私はお父さんに背を押され、ゆっくりと歩いて静さんの隣に並んだ。
「秋晴れとは、こんな日のためにある言葉だと思わないかい?」
「はい、そう思います」
 屋内にいても必然と空が見える階ではあるけれど、窓際からは何にも邪魔されることのない空を見ることができる。