食後の片づけを済ませた俺は、ソファで横になり資料に目を通していた姉さんに声をかけた。
「明日の警護体制、何か聞いてる?」
「警護のことなら秋斗に訊いたほうが確実よ」
 こちらをちらり、と見た目が「そうしろ」と言っていた。
 最近、秋兄と連絡を取っていないことを遠回りに指摘された気がした。
「わかった、そうする」
 自室に戻り、秋兄に電話をかけた。
『かかってくる頃だと思ってた』
「紅葉祭の守備は?」
『逢坂コーポレーションの人間は要注意。以前、病院で翠葉ちゃんが九階に上がるのを見られている。その後、これといったアクションはないし、逢坂の人間は生徒にいない。けど、逢坂コーポレーションの社員全員となると話は別。生徒にふたり身内の人間に逢坂コーポレーションに勤める人間がいた。親族として入場する分には警備サイドからはじきようがない』