光のもとでⅠ

 その後ろから碧さんが現れ、
「司くん、いらしゃい。……何があったのかは知らないけれど、お風呂から上がったときにはさっぱりした顔してたから大丈夫じゃないかしら?」
 ふーん……。
 気持ちを切り替える方法、俺が教えたもの以外にも持ってたんだ?
 本人、気づいてなさそうだけど。
「お邪魔します」と遅れた挨拶をしてから、問題児がいる部屋へと入った。
 もちろんノックをしてから入るわけだけど、予想どおり返答はなかった。
 それもいつものこと。
 この部屋のすぐ外で声のトーンを落とさずに話していても、翠は全く気づいていない。
 俺が目の前に座ってもまだ気づかない。
 その特筆すべき集中力はすごいと思うが、ここまでくると行きすぎだ。