光のもとでⅠ

 ノックして部屋に入ると、ルームウェアに着替え終わったリィがベッドに腰掛けていた。
「こんなときはさ、薬の力を借りるのも悪くないよ」
 手に持っていた薬をリィに見せる。
「睡眠導入剤までは使う必要はない。ちょっと気分を落ち着けるために飲むもの。俺も、精神的に不安定だった時期があるから、そういうのはわかる。素人判断って言われたらそれまでだけど、この薬ならリィも普段から飲みつけてるでしょ?」
 一応栞さんの了承は得たから問題はないんだけどね。
 リィは何を喋るでもなく、俺の手に載っている薬を二錠口に入れ、俺が差し出したグラスを両手で持ってはコクコクと水をすべて飲み干した。
「あとはラヴィでも抱いて寝ちゃいな。七時少し回ったら起こすから」
 誘導に誘導を重ねると、リィはようやく口を開いた。
「唯兄……ありがとう」
 小さすぎる声だったけど、大丈夫。
 ちゃんと聞こえてるよ。