「でも、みんな容姿が秀でてるよね?」
「違うんだよ。みんな成績も容姿も人としても秀でているの。それでいてお仕事もできる人たち。私がいることがおこがましくなるくらい……」
 ほい、一丁上がり。
 リィ? 口にしただけだったら突っ込まずにいられたんだよ?
 でもさ、口を手で押さえちゃったらアウトでしょう。
 俺、そういうところではスルーしないよ?
「何かあったんだ?」
 一言訊いただけで、リィは涙をいくつか零した。
 その涙に自身が気づくと、眉根をきゅっ、と寄せて悲愴そうな顔をした。
「ま、とりあえず帰ろうよ。ほら、六時目前。早く帰って寝なくちゃ」
 助手席に押し込めると、俺もすぐ運転席に回りこんだ。