「でもま、そのあとは普通に、かな」
 実の兄が言うところの「普通」がわからねぇ……。
「普通って?」
「普通は普通。ただ、俺らしく、翠葉ちゃんに意識してもらえるように動くまで。好きな子が自分の言葉や行動でドキドキしてくれるのってたまらなく嬉しくない?」
「同感……」
「だから、それを実行するまでだよ」
 なるほどね……。
「俺、紅葉祭のときに公開告白しちゃおっかなぁ……」
「また豪快な手に出るな。なんていうか、実に俺の弟らしい」
 秋兄はくくっ、と背中を丸めて笑った。
「まだ少しでも可能性があるなら、ね。でもって、これ以上ほかの男に言い寄られてるところも見たくないから、自分のって全校生徒の前で言っておきたい」
 秋兄の目を見ると、
「それでこそ俺の弟」
 と、満足そうに笑った。