逆に司が吸血鬼だったとして――あいつはえり好みが激しすぎて絶対に早死にするタイプだ。
 普段は食べられないものなんてないって顔してるけど、その対象が人間になった途端に偏食家決定。
「何、紅葉祭前にしてそんな顔してるんだよ」
「いや、面白くなくて……」
「それ、どんな話かお兄さんが聞いてあげるよ」
「……親身って感じじゃないよね?」
「もちろん、面白そうな匂いがするから聞きたいだけ」
 にこりと笑ってそう言った。
 むむむ、と唸りつつ俺は愚痴を零す。
「もっと余裕ぶってたかったなぁ……」
 愚痴は愚痴でも本音中の本音。