光のもとでⅠ

「了解しました。仕事に入る前に澤村さんか静様の了解が必要そうですが?」
 言うと、
「今日はオーナーいないから澤村さんだね」
 と、唯がホテル事情を開示した。
 そんな話をしていると、インターホンが鳴る。
「ランチかな」
 唯が言いながら席を立った。
 ドアを開けると澤村さんがカートを押して入ってくる。
「本日のランチセットです」
 にこやかに言うと、素早くテーブルセッティングを始めた。
「澤村さん、忙しいところすみません。で、ものは相談なんですが、若槻をちょっと借りたいので、今日のメインコンピューターのチェックは蔵元に行かせたいのですが……」
 秋斗様が言うと、
「かしこまりました。では時間になりましたらお迎えに上がります」
 と、一礼をして部屋を出ていく。
「澤村さんっていつもあんなに丁寧?」
 秋斗様の質問に、
「んー……俺と喋るときはもっと砕けてますよ」
「あぁ、なら良かった。若槻が天狗にでもなったらどうしようかと思った」
 と、笑う。
 実は親みたいなのは自分じゃなくて、秋斗様だったりしないだろうか、と思う今日この頃……。