『今、治療中だから。そのあとは強制的にマンションへ連れて帰ることになる』
 必要最低限しか言わないつもりか?
「起案書は通りました。あとは企画書にして月曜日、学校長に申請するだけです」
『ありがと。あのさ、ものは相談なんだけど、それって学校じゃないと作れないもの?』
「……断片的に話されても返答に困ります」
 携帯の向こうでクスクスと笑う声が聞こえた。
『じゃ、単刀直入に言うね。その代わり、なんとかしてもらわないと困るんだけど』
「要求の仕方が秋兄みたいですよ」
『まぁね、俺を社会人にしたのは秋斗さんだし、あの人の近くにいたらこういう人間になるのは君が一番よく知ってるんじゃない?』
「……否定はしません。先を続けてください」