午前の全体ミーティングが終わったあと、図書棟に戻る途中で携帯が鳴った。
 誰――。
 ディスプレイには見覚えのない番号が表示されている。
「はい」
『若槻です』
 なんで――。
『今、なんで、って思ったでしょ?』
「はい。その答えをいただけますか?」
『今日明日、リィは強制的に欠席になるから? あ、っていうか、とりあえず今日行かれないってことをまず伝えなくちゃいけなくて、起案書がどうなったかを知りたいんだよね』
「ずいぶんと一方的ですね」
『うん、ちょっと見逃してよ。先に起案書がどうなったか教えてもらえる? リィがすごく気にしてるからさ』
「では、こちらも先に。なぜ、翠本人からの連絡じゃないのか」