「おかげ様で、私も丸いフォルムの家具ばかりを集めて回ることになったけど、『輪』っていいわよね」
「そうなんだよ! 四角も多角もいいんだけどさ、一本の線がまぁるくつながってるのっていいよ。形の『円』は人の『縁』に通じるよね」
 ここで粗方作り尽くしたからか、満足感は多分にあった。
 この年まで生きてきてもまだ作りたいものがある。
 まだ、知らない世界がある。
 どうか、箱の外が娘にとって強く美しい世界でありますように――。