光のもとでⅠ

 ザザッと風が吹き、彼女の髪を舞い上げると細い首が露になった。
 自分のジャケットを脱いで彼女の肩にかけ、
「戻ろう。さすがにこの季節にその格好で外に出るのはどうかと思うよ?」
 奥さんはジーパンにニットのアンサンブルという服装。
 カーディガンの中に着ているのは半袖だ。
 屋内ならともかく、陽も差さない風が吹くここにはちょっと薄着すぎると思う。
「走ってきたから大丈夫」
「うん。来たときはそうだったかもしれないけど、今はこんなに冷たい」
 と、奥さんの頬に触れた。
「ねぇ、碧さん」
「何?」
「いえね、ちょっと承諾をいただこうかと思いまして」
「なんの?」というように目がまぁるく開いた。