光のもとでⅠ

「あ、もう昼過ぎてたんだ?」
 時計に目をやって携帯を手にした秋斗様。
「こんにちは。今、若槻のところにいるので適当にランチを三人分お願いします」
 言って携帯をテーブルに置く。
「蔵元もまだだろ?」
「まだですが……。それよりもこちらをどうにかしてください。これ、今日の夕方までに上がらないと社長から直々にクレームが来ますので」
「……そんなやばいのあったっけ?」
 不思議そうな顔をして、ようやく資料に手を伸ばしてくれた。
「土日休みで昨日は午後から早退でしたからね。この案件は昨日の夕方に緊急で入った仕事です」
「悪い、メールチェックもしてなかった」
 資料に目を通すと、さも面倒くさそうな顔をした。
「交通整理は済んでいます。簡単なものなら代われますが、この仕事は無理です」
 と、自分のできることとできないことを明確に提示する。と、
「わかってる。これは俺か若槻にしかできない」
 と、諦めたようだ。
「若槻、今日急ぎの仕事ってある?」
 唯に向き直ると、
「ちょっと待ってください」
 と、すぐに仕事のリストに目を通す。
「今手をつけているものと、メインコンピューターのチェック。夕方からはオーナーに頼まれてる仕事があるくらいです」
「じゃ、今手をつけてるのが終わったらこっち手伝って。蔵元、若槻の代わりにメインコンピューターのチェック」
 ま、妥当な采配ですね。