「俺たちが来たときの記帳を見せていただけますか?」
「ご用意してあります」
 差し出されたそれを見る。
 時間的にはこのあたり……。
 ちょうど怪しいと思える名前が三つあった。
 ひとつは男性の文字で書かれており、もうひとつは女性が書いたと思われる筆跡で男女の連名。
 こっちだな……。
「逢坂昭彦(おうさかあきひこ)サン、ね。見舞い先の患者は逢坂昭三(おうさかしょうぞう)サン」
 逢坂っていうのは逢坂コーポレーションのことだろう。
 そこの社長は昭一って名前だったと思う。
 ということは、社長の弟で三男坊が患者?
 で、見舞いに来たのはその息子ってとこかな。
 兄妹には見えなかったから、あのふたりは夫婦だろう。