「そりゃね……。現行犯逮捕したいくらいでしたよ。毎日彼女がそれを飲む現場をここから見てたんですから」
『悪かったな。ホントはこっち側の人間じゃないのにフォローに回らせて』
「いえ、蒼樹と若槻は自分に任せて欲しいと言ったのは自分ですから。自分が率先して動いたまでです。話はそれだけです」
 通話を切り、ディスプレイに目をやる。
 これらの数値は明日呼び出され飲むのをやめさせたところですぐもとに戻るというわけじゃないんだろうな……。
 そんなことを考えつつ、明かりの灯る仕事部屋に戻った。

 彼女のバイタルはいつもの彼女の数値を知っている人間が見たら、どこをとっても「異常」にしか見えなかった。