彼女はこの装置を外したいと思うのかもしれないし、これがなかったら、と俺を恨むのかもしれない。
 昨日は珍しく彼女が熟睡してくれて助かった。
 俺は彼女が眠りに落ちたのを確認してから隣の仮眠室へ移り、相馬さんに連絡を入れた。

 相馬さんは電話に出ると、相変わらずの調子で、
『なんだ、珍しいやつからの電話が入ったもんだ』
「できることならかけたくないんですが、一応学園に身を置く者として、旬な情報くらいは提供しますよ。それが彼女のためになるならば」
『今寝てんだろ?』
 この男も俺たちと変わらないのかもしれない。
 焦りなど微塵も感じさせない口調でありながら、今だって彼女のバイタルを眺めつつ電話に出ているのだ。