光のもとでⅠ

「……わかった、期限は?」
「紅葉祭……」
 月末まで、か……。
 そんな短期間なら俺は動かずにいてあげよう?
 ……といっても半月もあるのか。
「紅葉祭で答え出すのね?」
「……予定」
「予定はちゃんと実行しなさいよ」
「わかってるっ」
 頭の悪い子じゃない。
 何かしらきっかけがあればすぐに歩むべき道を、選択すべきものを手に取れる。
 欲しいものを諦めるなんてできない。
 この子はそういう子だ。
「俺、こういうの大嫌いなんだけど、どうでもいい人間のために自分の意思を曲げて行動するのとか、人任せの答えの出し方とか本当に嫌いなんだけど、今回だけは特別に聞いてあげる。金輪際こんなことはしないよ。――ただ、彼女から俺に寄ってきた場合は別だ。そんなときまで君との約束を律儀に守るつもりはない」
 数秒間彼女と無言で対峙し、二階へ下りるように言った。