光のもとでⅠ

 これがステージに立つと妖精の歌姫と称賛される少女の本当の姿――。
「窓際は冷えるよ」
 声をかけただけではその場を動きそうにはなかった。
 ここは軽度の防音を施してあるけれど、今、ドアの向こうにはかなり大人数の生徒がいる。窓の外、テラスもしかり。
 場所を移したほうがいいな……。
 仮眠室を開け、さらにその奥にある階段の施錠を外す。
「茜ちゃん、おいで」
 声をかけても蹲ったまま顔を上げない。
 仕方ないから白衣を頭からバサリとかけ、まるで荷物でも運ぶように図書棟の三階へ上がった。
 生徒立ち入り禁止区域であり、俺と学校長の許可なしには入れない場所。
 ここは窓もなければ防音も仕事部屋よりはるかに厳重だ。
 どんなに泣き叫んでも外に漏れる心配はない。