翠が作業を気にしすぎて休めていない。
 でも今日は……。
 今までの統計から考えると、今日だって六時ぴったりに戻ってくるはずだった。
 起案書を任せただけであの喜びよう。
 時計をじっと見ていて秒針が十二を指した瞬間に開くものだと思っていた。
 それがすでに七分を過ぎている。
「……具合、悪かったりするのかな? さっきまでそんなふうには見えなかったけど」
 優太は何気なく言ったのだろう。けれど、思い当たることなどそのくらいしかない。
 俺にはもう、翠のバイタルを知る術がない。
「ちょっと様子だけでも見てきたら?」
 朝陽に言われたものの、すぐには返事ができなかった。
 自分の目で見て安心したいとは思う。