光のもとでⅠ

 この不安は取り越し苦労とかそういう類じゃない。
 翠葉が消えてしまいそうな気がするのは俺の思い過ごしじゃないと思う。
 なんで――どうしてこんなに儚く感じてしまうのか。
 容姿とか身体が弱いとか、そういうものとは別物。
 焦る気持ちを抑えて翠葉の顔を覗き込むと、翠葉は小さく口を開いて話し始めた。
「秋斗さんが目の前にいるとドキドキする。どうしたらいいのかわからなくなる」
 意表をつかれた言葉に、ギリギリ不自然にならないタイミングで「うん」と相槌を打った。
「ツカサと手をつなぐとすごく安心するのに、秋斗さんだとドキドキして思考停止しそうになる」
「うん」
「海斗くんはそのどちらでもなくて――男子だなって思ったの」
「うん」
 翠葉は手をつないだまま俺を見上げ、
「何が違うのかな……」
 困惑した表情をしていたけれど、その声には「尋ねる」という響きやイントネーションは含まれなかった。