「ツカサ、ごめん。すぐに戻るから――お水だけ買ってきてもいい?」
「いいけど……」
「ごめんね、すぐに戻るから」
 翠葉は何やら慌しく図書室を出ていった。
「なんで水……?」
 テーブルには翠葉の飲みかけのペットボトルが置いてある。
 それも、まだ半分以上も残ったミネラルウォーターが。
「海斗」
 司に目だけで指示される。
「わかってる、ちょっと行ってくる」

 翠葉のあとを追って図書室を出ると、図書棟を出てすぐのところにある自販機の前に翠葉がいた。
 セーフ。まだ人に声をかけられてはいない。