適材適所といったらそれまでなんだけど、翠葉は基本会計の仕事に重点を置いていて、図書室から出るとしたら歌合せのときか小休憩のときのみ。
 それ以外で司が外に出したがらないからだ。
 気持ちはわかる。
 翠葉が外に出れば用事を済ませて帰ってくるどころの話ではなくなる。
 人に訊く必要がないようなことまで、翠葉と話したいがために話しかける男はそこら中にいるし、そのほかでもまだ呼び出しは続いていたから。
 茜先輩みたいにさらりとかわせれば問題ないわけだけど、翠葉にそれは無理。
 何かを尋ねられたら、苦手と思いつつもきちんと話を聞き、「私にわかることなら」と懇切丁寧に説明し始める。
 つまり、がっつり捕まるのがオチ。