「司が校内の見回りに出てるって聞いた」
「あ、はい」
 表情はまだ曇ったまま。
「今までならそんなことはしなかったはずだよ」
 その言葉に彼女の表情が変わる。
「つまり、背中を預けられる人間がここにいるってことじゃないかな?」
「背中、ですか……?」
 彼女は不思議そうな顔をして首を傾げた。
 さらりと動く髪には、司からもらったというとんぼ玉が見え隠れ。
 でも、安心して……。もう取り上げたりなんてしないから。