光のもとでⅠ

 だから杏華姉様に逃げられるのよ……。
 飲み物が運ばれてくると同時、海斗がラウンジに入ってきた。
「桃華からはメールも電話もないと思ったら、直接乗り込んできたか」
 うしし、と笑っては自分の飲み物をオーダーして私の正面に座った。
「いけなかったかしら?」
「いいえ、助かります」
「翠葉は?」
「結構ズタボロ」
「……でしょうね。あの子、実は自分を追い詰めるのが好きなんじゃないかしら」
「それだけ真面目なんだろ?」
「そうね……真面目というか、正直すぎるというか――」
 私たちが佐野のように問い詰めることはなかっただろう。「待つ」と決めていたのだから。
 それでも翠葉は、その状況を自分に許しはしない。