光のもとでⅠ

「和子さん、大福あるかしら?」
「はい、ございますよ」
 ふくよかな身体付きの女性――もとは住み込みの使用人の子どもで、小さい頃から簾条の家に仕えてくれている人。
 和子さんは実の家族以上に親しみのある人だった。
 私が喘息で静養を必要としたとき、一緒についてきてくれたのも和子さんだった。
 和子さんから包みを受け取り、それを持って表玄関へ向かう。
 門の外には黒塗りのベンツが停まっていた。
 後部座席に乗り込むと、運転席の内藤がバックミラーでこちらをうかがっているのがわかる。
「何かしら。運転は後方より前方に意識を集中するものではなくて?」
「……お言葉ですが、海斗様と司様にお会いになるのでしたら、違うお着物をお召しになるべきではないかと……」
 何を言い出すのかと思えば……。