「本当に本当に気にしないでっ!?」
 言いながら、ひとりエレベーターホールへと早足に去っていった。
 なんかもっとそれらしい理由を考えろよ……。
 そうは思ったものの、嘘をつける人間でもない。
 朝食が残っているのは本当なのかもしれない。
 でも、一緒に昼食を摂らないのには別に理由がある気がした。
 サンドイッチなら、仮に翠が昼食を食べていたとしても数時間もすれば海斗の胃に収まるから問題はない。
 そう思ったからこそ、自分がオーダーしたミートスパゲティのソースでサンドイッチを作ってくれと頼んでいた。
「あ、携帯鳴ってる。司、先に行けよ。俺もすぐに行く」
 海斗は七倉さんに「ご馳走様でした」というとカフェラウンジを出た。