「俺らだって翠葉のこと心配してるし、学校がもっと楽しいところだって知ってもらいたいと思ってる。できるだけダメージがないように、楽しいことを少しずつ知ってもらって、徐々にでもわかってもらったらそれでいいって――そうやって地道にがんばってる俺らはっ!?」
「っ――……」
 翠葉は色々あって怖いのかもしれない。
 でも、俺たちにだって怖いものはある。
 何かやり方を間違えて、翠葉のことを傷つけたらどうしようか、とかそういうことも考えるからじっくり時間をかけて、無理なく前に進もうと思っているのに。
 司はそんな俺たちのことは考えなしで、自分の動きたいように動いて、翠葉のことを散々泣かせて怖がらせたくせに、最後には信頼も信用も手に入れて――ずるいじゃん。