坂道を歩きながら、朝の話はだいたい聞いた。
「でもさ、藤宮先輩はただ『なんで俺を信じないんだ』って言いたかっただけだと思うんだ。その気持ちはちょっとわからなくもない……」
 ……そんな気持ちなら俺にだってわかる。
 わかるけど――昨日、俺とそういう話したじゃんっ。
 なのに、なんで今朝になって翠葉を泣かせるようなこと言ってんだよっ。
 何を話したかが問題なんじゃない。
 そういう行動を取ることで、翠葉が感じる恐怖感を考えられなかったのか、って話だ。
 司、俺の友達泣かせた罪は重いんだからな。
 生憎、身内割引なんて持ち合わせてねぇんだよっっっ。
「海斗……頼むからさ、流血沙汰は勘弁」
「うっさいっ、で? さっきはなんだったんだよ」