そのほかは中等部門、大学部門、初等部幼稚部門を利用する。
 さらには、歩きか自転車かバスか、という差もある。
 各校門へ向かうのに学内循環バスを使う人間もいれば、徒歩で学園内を歩く人間もいる。
 自転車通学の人間は自転車。と、二十九人が一気にばらけるときだった。
 高等部門を利用するのは、テスト期間限定の俺と電車通学の佐野。
 家が学校の南にある飛鳥と桃華。西にある空太。
 なんて好都合なメンバーなのだろう。
 あの場で桃華に仕切られても俺は全然納得いってない。
「空太、勉強見てやるからマンションに来いよ」
「え……いいよ。遠慮しとく」
 数歩後ずさった空太の肩に手を回した。
「今日の休み時間、ことあるごとに色々訊いてきてたじゃん? 全部みっちり教えてやるよ」
 司が翠葉に付き添っているということは、ふたりが帰ってくるまで俺はフリー……。