「私たちが翠葉から強引に聞きだすっていう手には出られないことがわかってるから、自分にくるであろう質問をかわすために即行出てったよねっ!?」
 俺もそう睨んでいる。
 ほかのクラスメイトは翠葉が心配で、未だ教室に留まっている。
 そんな中、ひとり出ていくなんて何か知ってるとしか思えない。
 しっかし……どうしたもんかな。
 翠葉はかばんを置いたままとはいえ、空太を追いかけていっちゃうし……。
 少し時間を見計らって電話をかけて空太を連れ戻すしかねぇな。
「海斗、翠は?」
 珍しく、司が俺の席まで来た。
「あぁ……今、空太を追って出ていっちゃったところなんだ。かばんはそこにあるから戻ってくると思うんだけど」
「あぁ、そう。じゃ、これは俺が持っていくから翠は戻らない」
 司はすでに帰り支度の済んでいるかばんに手を伸ばした。