「安心しろ。仮にもナンバーツーだ。そんな下手な接触の仕方はしないだろ」
 あ……それはそうかもしれない。
「明日は滋養強壮剤使うのか?」
「……いえ、使いません」
 相馬先生がピュー、と口笛を鳴らした。
「意外だな」
「……みんなが色々と考えてタイムテーブルを組んでくれてるんです。歌を歌うのにステージには立たなくちゃいけないけれど、椅子に座って歌わせてもらえることのほうが多いし、ステージは三つあるけれど、私はひとつのステージでしか歌わないから移動もない。休憩時間もまとまった時間をもらえているから、そのときにしっかり休もうと思って……」
「いい心がけだ。水分補給とカロリー補給だけはこまめにしろよ?」
「はい」
 先生に褒められてしまったけれど、実のところは紅葉祭当日よりも、それまでの作業ほうが大変だった。