光のもとでⅠ

 送信してすぐに携帯が鳴った。
 メールかと思ったけれども通話の着信音。
「もしもし?」
『俺、佐野』
「うん」
『それでいいと思う。俺も御園生と同じ考え。自分が全力で勝ちたいと思っている相手に、手を抜かれてまでして勝ちたいと思うかどうか――。俺はそういうふうに考えた。手を抜かれた相手に勝つことができても俺は嬉しくもなんともない。むしろ、悔しいし腹が立つ』
「それ、すごくわかりやすいね」
 思わず笑みが漏れる。
 考え方がとても佐野くんらしいと思った。
『御園生がわざわざ香月と向き合ったのはライバルだと思ったからじゃないの?』
「ライバル、か……。そういう意識はなかったんだけど、香月さんはツカサがどうとか、そういうのではなく、本当に生徒会の仕事をしたいんだろうな、って思う部分があって……。だから、ちゃんとしなくちゃって思った。きっと、中等部で除名されたことをずっと引き摺ってるんだろうね」