光のもとでⅠ

 佐野くんの指摘から早数秒でガタガタと席を立っては教室を出ていった。
「相変わらず忙しいやつ」
 海斗くんが目を細めて笑う。
「でも、あぁじゃなかったら立花じゃないだろ?」
「それもそうだな。飛鳥が桃華みたいに落ち着き払ってたら、逆に俺が落ち着かないわ」
 そのまま私の方に視線を戻すと、
「翠葉、司があぁいう性格で口が立つ人間なのは知ってると思うけど、それだけじゃないからさ」
 頭に手が伸びてきて、髪の毛をくしゃくしゃとされた。
「そうそう、あの毒舌は標準装備。それに、相手が誰であってもこういうところで特別扱いする人間じゃないわ。使えないと思っているなら、こんなチャンス見逃さずに除名の道筋整えて即実行。そういう男よ。それをしなかったのは、翠葉が生徒会の中でちゃんと機能しているからよ」
「ま、そういうこと。じゃ、俺と桃華も図書室行くわ。佐野は先に部活だっけ?」
「そう、六時にはそっちに行けると思う」
「了解」