「そうだね。山も祖母も――俺もそのくらい翠葉ちゃんを愛しているんだけどな」
 彼女を見下ろすと、
「っ……!? ――秋斗さん、どうしてそういうことがさらっと言えるんですか?」
 彼女は俺の言葉ひとつひとつに反応する。
 白い肌が一気に赤みをさし、少し抗議的な目で俺を見てくる。
「思ったことをそのまま口にするのって、そんな難しいことじゃないと思うよ? それに、赤くなった翠葉ちゃんを見て安心してたりするんだ」
「……意地悪です」
「だって嬉しいと思っちゃうんだ」
 俺はもう繕ったりしない。俺は俺だから――。
 そう思えば少しは心が軽くなる。
 周りには祖母が愛した花の数々、それらが「いらっしゃい」と言ってくれているように思えた。
 そこかしこに祖母の気配を感じる。
 あぁ、だからか……。
 愛する人の気配を感じられる場所だから、だからこそその手入れにすら参加したいと思うのだろう。
 じーさんもいい加減いい年なのにな……。
 そんなことを考えていると、隣からか細い声が聞こえてきた。信じられないような内容を伴って。