「リィは制服を着替えてベッドへ直行。OK?」
「ん……」
 何もかも行動を指示されて動いていた。
 まるで、自分では何も行動できない人みたいに。
 言われたとおり、自室でルームウェアに着替えると、ドアがノックされた。
 入ってきたのは唯兄。
 片手にお水の入ったグラスを持っていた。
「こんなときはさ、薬の力を借りるのも悪くないよ」
 差し出されたのは私が普段飲んでいる筋弛緩剤だった。
「睡眠導入剤までは使う必要はない。ちょっと気分を落ち着けるために飲むもの。俺も、精神的に不安定だった時期があるから、そういうのはわかる。素人判断って言われたらそれまでだけど、この薬ならリィも普段から飲みつけてるでしょ?」
 コクリと頷き、私は薬の力を借りることにした。