世界が広がってきれいなものや大切なものが増えるたび、それと同量のリスクを背負っている気がしてならない。
 すべての人に好かれたいなんて思っていないはずなのに、冷たい視線を浴びることに慣れる気はしない。
「翠葉ちゃん、それって普通のことじゃない? 人の反感を買いたい人なんてそうそういないし、人の目って多かれ少なかれ気になるものだと思うよ」
 この言葉に救われちゃいけない気がするのはどうしてかな。
 ……たぶん、今心に引っかかっているのがツカサの目だからだ。
 歩みを止めて朝陽先輩を見上げると、優しい笑みが降ってくる。
 かけられる言葉とは裏腹に。
「それでも翠葉ちゃんは呼び出しには応じるんでしょ?」
「……そうですね」
 全員がわかってくれるわけじゃない。