「翠葉?」
 訝しげに顔を覗きこまれ、私は下手な笑顔を作る。
 こんな笑顔、なんの意味もないし、飛鳥ちゃんが作り笑いって気づかないはずもないのに。
 私は何をしているんだろう。
「ごめん、朝陽先輩が廊下で待ってくれているの。飛鳥ちゃん、また明日ね」
 私は逃げるように教室から出た。