玄関でお母さんと栞さんに出迎えられ、手洗いうがいが済むと、
「リィはこれから一時間お夕寝ね」と、すぐに自室へ押し込められる。
 でも、それが正しい。
 今から寝て七時に起きたら夕飯。
 そのあとお風呂に入って、上がったら会計の作業。
 そして、十時半になったらツカサが来る。
 これからしばらくはこの生活なのだから、少しでも身体がそれに順応するように努力しなくちゃ……。
 
 ツカサがゲストルームに来たのは十時だった。
 部屋へ入ってくるなり、
「今日、秋兄来た?」
「え? 来てないけど……どうして?」
 ツカサの視線がドレッサーに向けられる。
「あ、香水?」