光のもとでⅠ

「質問の答えなんだけどね、蒼樹くんはひとつ下の後輩なの。で、生徒会では二年間一緒だったよ」
 年上の人に失礼かもしれないけれど、里実さんは笑うととても幼く見える。
 無表情でプリントに向かっていたときとは別人のように見えた。
「お姉は書記で書類整理が主な仕事だったけど、要領いいくせにたまにあり得ないポカをするんだ。そのサポートをしてくれていたのが生徒会で一番仕事量の多い会計だった蒼樹」
「ひっどいなぁ……でも、ま、本当のことなんだけどね」
「……高崎さんも生徒会だったんですか?」
 里実さんへ向けていた身体をくるり、と反転させ高崎さんを見上げる。と、
「違うよ。俺は万年風紀委員。俺の代わりに鈴代環(すずしろたまき)ってやつが生徒会にいたよ。環は今でも大学院で蒼樹と一緒のはず。聞いたことない?」
「ないです……」
 私は蒼兄の学校のお話をほとんど聞いたことがない。