苦笑の意味はわからなかったけど、「ありがとう」と受け取ってもらえて良かった。
 でも、ちょっとおかしい。
 私が「ありがとう」の意味をこめて渡したのに。
「けど、誰にでもそういうこと言うなよ?」
 釘を刺された気がするのはどうしてだろう。
「……誰にでもっていうわけではないと思う」
「そう?」
「うん。だって、私のことをここまで面倒見てくれる人ってそこまでたくさんいるわけじゃないもの。いたとしても、クラスメイトと生徒会のメンバー、それから先生たちと栞さんと秋斗さんと家族くらい……? あ、あとは高崎さんもかな」
 あれ……?
 数えてみたら結構たくさんいる……?
 真面目に答えたつもりなのに、また苦笑混じりのため息をつかれた。
「じゃ、俺帰るから」
「うん。今日はありがとう。おやすみなさい」