人間は眠る体力を温存して動く生き物らしいけれど、私のようにもともと体力がない人間や、先日使ったような滋養強壮剤を使ってしまうと、持っている体力を根こそぎ通常の生活で使いきってしまうため、夜の眠りが浅くなり、リセット作業も滞る。
 それでももとが健康体の人は、そのまま無理を続け、気づかないうちに過労死へ歩み寄ってしまうのだとか……。
 だから相馬先生は滋養強壮剤を使うなら、前後できちんと休むことが必要だと言ったのだ。
 ……ちゃんと理解できた。
「薬には抵抗があるだろうけれど、今は熟睡することが先決」
 そう言われて、いつもより少し強い睡眠薬を処方された。
 睡眠導入剤と一緒に飲むことで、中堅型と呼ばれる睡眠薬は六時間ほどは眠れるらしい。
 どうやら、手術前の患者さんに飲ませるものらしかった。