湊先生にはこんなふうにも言われた。
「ただ寝るだけじゃ疲れは取れない。熟睡できるだけの体力が人間には必要なの。寝るって行為は意外と体力を要するものだしカロリーも必要」
 寝るのに体力がいるなんて初めて知った。
 でも、その先に続く言葉を聞くと、妙に頷けるものだった。
 寝ている間にも心臓は動いているし、呼吸をしているのだから肺も機能している。
 夜に頭や神経、筋肉を休めている間にも、ずっと働き続けている機関がある。
 人の身体は寝ている間に老廃物を取り除くために動き出す。
 けれど、それはその作業をするための体力やカロリーが残っていないとうまく行われない。
 結果、体力不足だと一晩ではリセットしきれいないままに次の日がスタートする。
 それを日々重ね何度も繰り返していくうちに、人の身体には疲労が蓄積されていくらしい。