「翠葉ちゃんは高熱を出しても痛みがひどくても、基本的には『助けて』ってSOSを発してくれないんだもの。こんなふうに真正面から不安をぶつけてくれたことはなかったわ」
 今までの自分がどうだったかよくわからない。
 ただ、人に迷惑をかけるのが嫌で、どうにもできなものなら口にしてもしなくても変わらない。
 そう思っていたから――。
 でも、それが言えるようになったのだとしたら、それは相馬先生とツカサのおかげ。
 そんな話をしていれば学校に着いてしまう。
 あらかじめ栞さんが連絡を入れてくれていたこともあり、「来たわね」といった感じで湊先生が出迎えてくれた。
「栞は適当にお茶でも飲んでて」
「そうさせてもらうわ」
「翠葉はこっち」
 いつものベッドへと促される。
 カーテンを閉めると、湊先生は首にかけていた聴診器を手にする。