光のもとでⅠ

「ここに一メートルのモノサシがあるとしよう。これは他人の十だ。おまえの五をこの一メートルに置き換えるとしたらどうなる? 体力とかそういうこと考えんな。ただの算数だ。数と長さだけを考えろ」
 数と長さ……。
「単純に考えるなら百が十で五十が五になるから、五が十になるのなら――」
 細かい目盛りはたくさんある。
 けれど、区切りとして大きな印が付けられているのは十センチ単位。
 だとしたら――。
「数と数の間の幅が十のモノサシの二倍になる」
 十は五の二倍もあるのだから、その感覚は二十センチになる。
「二十センチの間にもう一本線を引いてみろ」
 頭の中でそれを想像する。と、数字的にはとても中途半端だけれど、長さ的には十センチ刻みのモノサシになった。