光のもとでⅠ

「変わんねぇよ。大人になると――そうだな、学校の代わりに会社、職場ってところにそれが移る。そこでは自分がした仕事内容が出世に響く。同期で入った人間がどんどん出世していき、周りの人間もそれなり。その中で自分だけが平社員のままなら劣等感を抱いたっておかしくねぇだろ? 主婦だって同じだ。子どものいるなしで悩む人間もいれば、子供が幼稚園に上がってよその家と自分の家の金銭的余裕を目の当たりにしたり――大人になったってすべての葛藤がなくなるわけじゃない」
「……その葛藤を……みんなどう片付けるの? どう対処するの?」
「それはケースバイケース。ものによりけり、人によりけり、だ。……が、今のおまえには助言してやれるぜ?」
 何……?
「もしおまえが考える人の体力のマックスが十なら、おまえは五とする」
 すでに差がありすぎて心が痛いと叫ぶ。