いつもより活舌良く早口で、けれども相手が聞き取れる速さをキープしつつ用件のみを簡潔に伝えて内線を切った。
「リィ、俺ちょっと警備室に行ってくるね」
 いつもの口調に戻ったけれど、急いでいる感じが伝わった。
「治療が終わったら警備室に内線かけて? くれぐれも、自分で下まで降りようと思わないこと。エレベーター内の九階ボタンは無効にしたから下からは上がってこれない。でも、九階からの呼び出しにエレベーターは応じる。でも、俺が戻るまではだめ。相馬先生と一緒にいて」
 念を押すように言われた。
「何かあったのか?」
 相馬先生が訊くと、
「んー……ちょっと面倒そうなのと鉢合わせちゃっただけです。
 いつもの口調に戻るけど、急いでる感じが伝わる。