「……広報部の若槻唯さん」
「そう、似非広報部の若槻です」
 唯兄はにこりと笑ってこう続けた。
「でも、俺の所属元は藤宮警備、と」
「あ――」
「すっかり忘れてた? 俺、秋斗さんの直下にいるからあまり表に顔は出さないんだけど、要所要所の統括責任者には顔を知られてるんだ」
「……だから警備室前を通ったとき、責任者みたいな人が出てきたの?」
「そういうこと! ま、ここの警備員さんとは夜間救急に来たときに何度も顔を合わせてるからだいたいの人が顔覚えてくれてるけどね」
 その言葉にはなるほど、と思わず納得してしまった。