「あれ? 俺がウサギさん? そりゃ嬉しいや。狼とか能無しとか言われるよりも断然嬉しいよねっ、うん」
 言っている意味はよくわからなかったけど、自分を包むこの空気――唯兄の雰囲気にはものすごく救われている気がした。
「でもね、明日も紅葉祭の準備で学校なんだ」
「あ、栞さんから聞いたんだけど、明日の午前中は病院に来いって言われてるみたいよ?」
「え……? でも、明日って日曜日……」
「そうだよね? ま、俺が送っていくことになってるから大丈夫! 超絶安全運転で送るよっ!」
  唯兄は華奢な胸を自分の手でポン、と叩いては「ぐへ、痛い……」と零した。