「……蒼兄、秋斗さん怒らせちゃったかな」
 蒼兄は軽くため息をつき、
「好きな子がほかの男を褒めたら誰だって不機嫌になるよ」
 と、苦笑した。
「秋斗さんって、実はすっごく嫉妬深いんだ?」
 そう口にしたのは若槻さん。
「でも、彼は確かに格好いいよね?」
 それにコクリと頷くと、蒼兄と若槻さんの視線が私に固定された。
「……何?」
「「顔、真っ赤……」」
 ふたり声を揃えて言う。
「えっ!? だって、すごく格好いいからっ」
 ふたりはおかしそうに笑いだした。
「翠葉、これは先輩が妬いても仕方ないよ」
「確かに」
 若槻さんも蒼兄に同意する。
 先を歩いていた秋斗さんはすでにゲストルームへと姿を消していた。
「私……また秋斗さんに怒られちゃうのかな」
「「またっ!?」」
「うん、今日二度目かも……」
「とりあえず、その話聞きたいから部屋に戻ろう」
 と、蒼兄は急にスタスタと歩きだした。